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カルテについて

カルテとは?

カルテは、日本語で診療録(ドイツ語でKarte。海外ではMedical record)と言われる、診療経過などを記録したものです。医師法によって、診察の際にカルテに記録することと、カルテを診療完結の日から(または、死亡してから・遠隔地に転居して再診の見込みがなくなってから)5年間保存することが義務付けられています。

カルテは単なるメモではなく、医療過誤においての証拠としても重要性が非常に大きいです。医療訴訟では、実際に必要な処置を行っていたとしても、カルテに記載がない場合は処置を行った事実が認められない可能性もあります。

カルテを記載する目的

法律上の義務のため

カルテは法的根拠のある公式記録で、医師法第二十三条一頁では、「医師は、診療したときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない」と定められています。また、医療訴訟などでは法的正当性の証明としても使用されます。

実臨床で必要なため

今後の医療に生かすための記録と検証、チーム医療での情報共有、臨床研究の資料などとして役立ちます。

保険請求の根拠や、医学教育の資料になるため

保険診療においては、診療報酬明細書(レセプト)に記載されている内容の根拠はカルテに求められます。また、クリニカルクラークシップ(臨床参加型実習)の資料としても使用されます。

カルテの種類

紙カルテ

紙カルテは、紙の記録簿に手書きで記載したり、検査記録を貼付けたりして作成する診療録で、 1 号用紙・2 号用紙・3 号用紙から成り立っています。

例えば、膀胱炎の患者を診察する場合、症状を聞きながら2 号用紙の左側に「2 日前から排尿痛」などの症状 を書き、右側に検尿・処方(会計に関係する内容)を書き、1 号用紙に膀胱炎という病名を記入し て事務員に渡します。2 号用紙の右側をもとに事務員が 3 号用紙を記入し、保険点数の合計を計算して、会計を行います。

メリット
◯ 停電時でも閲覧でき、災害に強い
◯ システム故障の心配がない

デメリット
◯ 保管スペースが必要
◯ 管理が困難
◯ 同時に複数人で閲覧ができない


参考資料(書籍名やWEBサイトなど)

紙カルテ・伝票・帳票類|ASKUL

電子カルテ

電子カルテとは、従来医師・歯科医師が診療の経過を記入していた紙のカルテを電子的なシステムに置き換え、電子情報として一括してカルテを編集・管理しデータベースに記録する仕組み、またはその記録のことです。単にカルテを電子化するだけでなく、会計業務や検査結果の取り込みなど、業務全体を効率化するための機能を備えたものも多くあります。

薬害問題や医療ミスにより裁判となった場合の損害賠償請求権の時効は 20 年と定められています。カルテの法定保管期間である「診療完結日から5年経過」後に紙カルテを処分すると、その後、損害賠償請求を受けた際にカルテがなく、医療機関側が不利な状況に立たされるケースもあることから、日本医師会が電子カルテ発行しています。

2016年版医師の職業倫理指針第 3 版には、出来る限りカルテは永久保存しておく事を勧めると記されています。医療機関への普及率は上昇傾向にあり、今後も普及の拡大が期待されます。

メリット
◯ 長期間かつ大容量での保存が容易
◯ デジタル化が業務全体を効率化につながる


参考資料(書籍名やWEBサイトなど)

紙カルテ・伝票・帳票類|ASKUL

カルテにはどんなことが書かれているの?

カルテには、最低限記録しなければならない内容として、医師法施行規則第23条により以下の4つが定められています。

Point
最低限記録する内容

○ 住所、氏名、性別、年齢
○ 病名と主要症状
○ 治療方法(処方や処置)
○ 診療年月日

その他の項目については記載されないこともありますが、患者の状況を知って適切な医療を行うために重要な以下の項目も一般的に記載されます。

Point
一般的に記載されている内容

○ 病気の主な症状
○ 症状の経過
○ 前医での治療
○ 過去にかかった病気
○ 親族や同居者の病気・健康状態・遺伝性疾患・感染症など
○ 出身地、職業、趣味など日常の生活状況
○ 喫煙、飲酒の有無
○ 花粉症、食べ物、薬などのアレルギー
○ 現症、身体所見(視診・聴診・触診による所見、反射・精神状態など)
○ 血液検査や画像検査などの検査結果、検査予約状況
○ 入院後経過、看護記録
○ 治療方針、治療の目的

カルテの記録に活用される「SOAP(ソープ)」とは?

SOAPとは、医療看護の分野において、対象者の経過をカルテなどに記録するときの記入方法のひとつです。単に経過のみを記録していくのではなく、患者の問題点を抽出しながら、以下の4つの項目にそって記載します。

SOAPを用いることで、患者の抱える問題点や、治療・援助を展開していくプロセスが明確となり、医療介護のチームにおける情報共有もスムーズに行うことができます。